これは、新生児マススクリーニング開始当初からの対象疾患である「ホモシスチン尿症1型」と同様、血中にホモシステインが蓄積し、その二量体であるホモシスチンが尿中へ大量に排泄される疾患ですが、1型のスクリーニング指標であるメチオニンが3型では逆に低下するため、これまでマススクリーニングの対象として考えられてはいませんでした。
研究代表者 島根大学医学部小児科学・教授 山口 清次 連絡先:島根大学医学部小児科 電話 0853-20-2220(秘書室) FAX 0853-20-2215(秘書室). 日本小児科学会雑誌 122 6 : 1043-1046, 2018. 酵素診断 先天代謝異常症の大半は「酵素欠損症」なので、酵素の働き(=活性)が低下していることを示すのが、最も直接的な診断所見であると言えます。
厚生労働省が有用と考えるタンデムマス [ ]• 精密検査の拠点施設 当科では、新生児マススクリーニングで異常と判定された患者さんの診断を確定するために、精密検査を行っています。
また、新生児マススクリーニングで検査できないその他の代謝異常症についても、検査、診断、治療を行っています。
福嶋義光 監 , 桜井晃洋 編 :遺伝カウンセリングマニュアル 第3版 , 南江堂, 東京, 2016. カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ-1欠損症 脚注 [ ]• タンデムマス・スクリーニングでは、1回の検査において複数のアミノ酸、数多くの有機酸・脂肪酸代謝物質を測定することができます。
一方、病気によっては最重症の場合には検査を受ける前に発症したり、治療が難しい場合もあります。
その場合でも早期の診断により障害の程度を軽くする効果が期待できます。
その代表例と言える「酵素補充療法」が実用化されたライソゾーム病では、症状が進展する前に治療を開始することが望まれることから、新生児マススクリーニングの実現に向けた研究が進められています。
代謝に障害があるために蓄積したアミノ酸が身体に障害を起こします。
日本小児科学会雑誌, 123 4 711-722, 2019. ガラクトース血症、先天性甲状腺機能低下症、先天性副腎過形成の3疾患は、タンデム・マス試験では診断することができないため、従来の測定法で新生児スクリーニングが継続されています。
今後、遺伝子解析のコストダウンが進むことによって、新生児マススクリーニングの確定診断における有用性は高まっていくことが期待されます。
そのひとつとして、当研究室では「ホモシスチン尿症3型」に注目しています。
従来のガスリー法で3疾患のスクリーニングを行っていた時代には約6万に1名の患児発見頻度であったのに対し、タンデム・マス試験による16疾患のスクリーニングでは、約1万人に1名と発見効率が大きく向上しています。
原圭一, 但馬剛, 南花枝, 吉井千代子, 濱崎考史, 新宅治夫:経過観察中にBH4療法を開始した軽症高フェニルアラニン血症の一例. Tajima G, Hara K, Tsumura M, Kagawa R, Okada S, Sakura N, Hata I, Shigematsu Y, Kobayashi M: Screening of MCAD deficiency in Jalian: 16 years' experience of enzymatic and genetic evaluation. 再検査や精密検査となった場合は、お住まいの市町村を管轄する保健所、保健センターへ連絡させていただく場合があります。