数十年ぶりの赤字をもって3代続いたサラリーマン社長に対して、遂に復活した大政奉還としての創業家の復活。
オリーブカラーがワイルドな感じですね。
電機、機械が軒並みダウンしたいま、トヨトミが潰れたら日本は終わりです」 「トヨトミ自動車は狙い撃ちにされ崩壊に追い込まれるか、欧米メーカーに買収されるか、IT企業の傘下となるか……」 (作中より) あまりに生々しい <本当のことを伝えたかったら、小説を書くしかない> ベストセラー『ホテル』(1965)の作者で、数多くの社会派作品を世に送り出した小説家アーサー・ヘイリーのこの言葉は、いまこそ見直されるべきだろう。
世界一の売り上げ規模を誇る巨大自動車企業「トヨトミ」を舞台に、経理畑から叩き上げで社長に就任した武田剛平と、創業一族で社長の座を狙う豊臣統一(作品後半で社長に就任)という二人の登場人物の物語が展開する。
CASEとよばれる、百年に一度の大波にゆれる自動車業界だ。
しかし計画が事前に新太郎に知られるところになり、失敗。
「カイゼン」「カンバン」「ジャストインタイム」……これまで、世界に冠たる「ものづくり大国・日本」の象徴のひとつ、トヨタ生産方式を紹介するビジネス書などは巷間あふれているが、莫大な広告予算でメディアの生殺与奪の権を握る巨大企業だけに、トヨタ「奥」でいったいどんな人間模様が繰り広げられているのかについてまで踏み込んだ書き手はいなかった。
トヨトミの70周年を記念して、Moonlighter(ムーンライター)というストーブも発売になっています。
本作の終盤には未来のトヨトミ自動車と、統一の姿が描かれる。
組織も同様だ。
章一郎氏の弟。
これらの世界には、高い才能を持つマエストロたちがいる。
とくに林はこの小説の核をなす人物であり、老獪なやり方でトヨトミ自動車での「陰の社長」として権力をふるいだす。
梶山氏は「トヨタの日本のメディアへの広告出稿費は巨大。