子供の頃に、Aの母とBの両親、そしてもう一人男の子(Eとします)を入れた四人であの空き家へ行ったのです。
D妹がいないのです。
そして、今度は自分が母親として全く同じ事を繰り返し、母親が待つ場所へと向かうわけです。
「そこに何があるかってのは誰も知らないの?」 「知らない。
『材料』として適した歪んだ常識、歪んだ価値観、歪んだ嗜好などを形成させるための異常な『教育』は、 代々の母娘間で13年間も続けられます。
その後、老朽化などの理由でどうしても取り壊すことになった際、初めて中に何があるかを住民達は知りました。
慌てていたのかD子は二段目ではなく三段目、一番下の引き出しを開けたのです。
食べるというよりも、体内に取り込むという事が重要だったそうです。
金輪際あの家の話はするな。
「お前ら!何を見た!?あそこで何を見たんだ!?」 それぞれの親達が一斉に我が子に向かって放つ言葉に、私達は頭が真っ白で応えられませんでしたが、何とかA君とB君が懸命に事情を説明しました。
中でも動物や虫、特に猫に関するものが全体の3分の1ぐらいだったのですが、これは理由があります。
そうして、二人への供養の場所として長らく残されていたのです。
その家系では娘は母の「所有物」とされ、娘を「材料」として扱うある儀式が行われていました。
あんなの気持ち悪い」 「オレもなんかやばい気がする」 C君と私とD子の三人はあまりに予想外のものを見てしまい、完全に探索意欲を失っていました。