カメラの操作をいちいち気にしていたのでは、本当に大切なことに集中できません。
直子さんが自らカメラを持って撮影しました。
母をずっと側で見てきた私が言うのだから間違いありません。
お母さん、傘より大切なことがあるじゃろう。
今年の年明け、良則さんは腸のヘルニアのため、1週間ほど入院して手術を受けました。
「長谷川式認知症スケール」とは、1974年に精神科医の長谷川和夫先生が開発された「認知症の可能性がある人かどうかをスクリーニング(ふるい分け)する問診項目」です。
主にフジテレビで、ドキュメンタリー番組を手がける。
当時はまだ高価なものだったのですが、冬のボーナスで「えいやっ!」と決断して買いました。
その番組をもとに、追加取材と再編集を行ったのが映画『ぼけますから、よろしくお願いします。
私が元気な間は、面倒をみようという気持ちがあります。
ビデオカメラは、実は仕事のために買ったので、こちらの理由の方がより大きいかもしれません。
いつも実家の1ブロック手前でカメラを取り出し、録画ボタンを押してから実家に向かっていたのです。
今までふつうにできていたことがどうしてできないのか。
「東京に着いて雨が上がっとっても、傘を忘れんように持って帰りなさいよ」 ときっちりした性格の母らしい、細かい注意も受けました。
コロナ禍で見舞いもままならなかったが、面会が許可になった6月初頭から毎日、病院に通った良則さんと信友さんは、寝たきりの文子さんに思う存分話しかけ、危篤状態になっても思い残すことなくお別れができたという。
長い闘病生活の末に迎える最後の日々。